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腹の底から抑えきれないほどの怒りが沸いてきて、今にも殴りかかりそうだったが、必死にあいてる方の手を力一杯握りしめ、歯を食いしばり、煮え湯を飲み込む思いで踏み留まった
『話があるのはわかった。だけど暴力はやめろ。俺が見ている前で話し合え。』
真の言葉に対し、納得がいかない表情を浮かべてはいたが、捕まれた手を思い切り振り解いた以外はおとなしく椅子に座った
『大丈夫か?母さん。』
隅で震えている美咲に手を差し伸べ、優しく抱き起こした
幸いというかそれほど殴られた形跡もなく、徹とはテーブルを挟んだ向かい側に座らせる
『いいか、暴力は無しだぞ。』
徹は何か言いたそうにしていたが、その不満気な顔を美咲に向け喋り出す
結局は金の無心
いつもの事ながらほとほと嫌気がさす
この男には良心ってものが無いのかとさえ思う
聞き苦しく、何度も口を挟みたくなったが、自分が間に入ろうとまた自分のいない隙に美咲に何かされては堪らないので聞き流していた
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