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1時間程話した結果、結局は美咲は徹に金を渡す
真の心の中はやり切れない気持ちで張り裂けんばかりだったが、今の真では金の問題ばかりはどうにもならない
ただ黙って二人のやり取りを傍観する事しかできなかった
徹は金を受け取ると、すぐさま外出しようとした
『じゃあなクソ餓鬼。次会うときはお前もちょっとは美咲を見習って俺の役に立てよ。』
腐るような捨て台詞を残し、家を出る徹
身体だけは大人だが、何にも出来ない自分の不甲斐なさを拳に込め、思い切り壁を殴りつける
鮮烈に脳へと伝わる痛みと共に流れ出た血が、少しだけ自分の心を洗い流した気がした
『母さん、もうこんな家出よう。あいつがいたら幸せになんてなれないよ。』
切実に訴える真の目をしっかり見返しながら美咲は答える
『そんなこと言わないで。でも、少し考えてみるね。ごめんね。あなたにこんなおもいさせて…』
いつもどんな時も気丈に振る舞っていた美咲の頬に涙がつたう
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