序章

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真が向かった場所は東京の新宿、歌舞伎町 目的は就職活動である 今年で十八歳を迎える真は、一度は大学進学も考えたのだが、如何せん授業料の方を工面するのが難しく、真自体がこれ以上、美咲へ負担を掛けるのが何より嫌だった 真の家庭はほぼ美咲のパートで生活費を工面しており、肝心の父親である徹は極度のギャンブル狂で一度家を出ると一週間は帰らない 無論、生活費を入れる事など一切無く、全てギャンブルに溶かしてしまう男であった 家に帰る時はギャンブルに負けた時なので虫の居所が悪いらしく、それがそのまま家庭内暴力に繋がるという負の連鎖である 真は正直、そんな父親を心底嫌い、なぜ美咲が離婚しないか不思議でしょうがなかった 一度だけ、美咲が殴られた後に問い詰めると 『あの人だって本当はとても優しい人なの。今はこんなだけど昔は本当に素敵な人だったわ。それにあの人が居たからこそ、貴方という宝物に出会えたんじゃない。』 と返されてしまい、言葉に詰まった思い出があった
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