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「「「「「勇気ひとつを友にしてー」」」」」
とある2月の午後(アフタヌーン)、高町小学校の音楽室からは5年2組の合唱が聞こえていた。
――キンコーンカーンコーン!
授業終了を知らせるチャイムが学校中に鳴った。
「今日はここまでにしますね。帰りのHRもここでやっちゃいますが、特に言う事も無いのでこれでさようならにします。じゃあ起立」
先生に言われ児童は一斉に起立した。
「気をつけて帰って下さいね。さようなら」
「「「「「さようなら!」」」」」
下校となり天道翼(てんどうつばさ)は急いで教科書や筆記用具をランドセルにしまっていった。
「翼、今から野球しようぜ」
佐倉剛はそう言ってボールを翼に投げてきた。
「ごめん、今日は用事があるんだ。また今度誘って」
翼はボールを剛に投げ返すと、いの一番に校舎を飛び出して目的地を目指して走って行った。
2月という事もあり、冬真っ盛りであるが、今日は晴天で普段より少し暖かめだった。
しかし他の県では寒く雪が多く降っているというニュースが朝流れていた。
――ヒュオオオオ!!
上空では1機の戦闘機が飛行訓練を行っているようで戦闘機のエンジン音が地上にいても聞こえた。
この高町市には航空自衛隊の基地があり、あまり珍しく無い音である。
「ふーん、今日も飛んでいるんだ」
翼は空を見上げてそう呟いた。
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