いらない運命

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目的の地に着いたのか、トウキが足を止めた。そうしてラナをゆっくりと降ろしてやる。ラナは目の前に立つ建物を視界に捉えると、それを暫く凝視し圧巻された。 「うわぁ…大きい」 「だろ?」 へへっ、と子供のような無邪気な笑顔を向けてくるトウキに、ラナはどくんと鼓動が高鳴るのを感じた。 それに内心疑問を抱きつつ、気に入っているんだなぁと思い小さく微笑んだ。 「ただ…百年くらい放置してたから中は酷いだろうけどな」 「そっか。それなら掃除すれば大丈夫だよ、私も手伝うからさ」 そう言うと、トウキは一瞬驚いて目を見開く。が、軈て照れ臭そうに笑うと、悪いなと言いながら館に向かって歩き出した。 その背中を見ながら、ラナは小さく口を開く。 「…でも」 その言葉にトウキはぴたりと立ち止まる。 その声音が、余りに寂しそうで、切なかったから。 風が微かに吹いて、お互いの間を抜け頬を撫ぜる。 生暖かい、緩やかな風。 「独りだと…広すぎて、寂しいよね」 その言葉に、トウキは何も言わず、ゆっくりと館の中へ入っていく。 「…寂しくなんかねぇよ。さっさと入れ」 「…うん」 館の扉が、重たそうな音と共に、閉まった。
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