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「どうすれば……信じてくれる?」
その問いは、すぐ答えられるはずだった。
『二度と信じない』、そう答えればよかった。それなのに、その言葉は喉に引っ掛かったように出てこない。
「約束する。絶対に、裏切らない。だから、信じて…」
『約束する。ずっと友達だ』
『信じてよ、友達なんだから裏切ったりしないよ』
……何で。
いつもいつも、こいつら人間はこんなことを、言うんだ。
アノ、蔑ム目ガ、頭カラ離レナイ
醜イモノヲ見ルヨウナ、アノ無機質ナ…。
「俺の前で……その言葉を言うな!!」
「――うっ」
ギラギラと目を光らせながら、トウキはラナの首を掴んだ。
ラナの顔が苦し気に歪み、トウキはその顔に憎悪と焦燥を滲ませていた。
「…う」
「撤回しろ。ハナから信じてなどいないと」
約束など守る気はないと。
そう言って、ラナが話せるよう力を緩める。
ラナは浅く呼吸を繰り返しながら、濡れた瞳でトウキを見詰めた。
そして、トウキの小指を自身の小指に絡める。
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