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その行動に、トウキは訳がわからない、と眉間に皺を寄せた。
ぐいっと涙を拭うと、ラナはにっこりと笑って、
「指切りげんまん、嘘ついたら…」
トウキを、見詰める。
「私は、死ぬよ」
何故、こんなに心を乱す。
力任せにその華奢な体を引き寄せて思い切り抱き締めていた。
ああ、やっぱり小さい。
そう思いながら、更に力を込める。彼女が小さく声を上げたが、放すつもりはない。
「バッカじゃねーの…」
「そうかな…。でもね、」
ゆるゆると、背中に回る腕。
「私のことを…ちゃんと見てくれたのは…君だけだったから…」
真っ直ぐ、見てくれた君だからこそ…、もっと知りたい、一緒にいたい。
信じてほしい。
君の為になら、私は生きよう。死のう。
おかしいよね。会ったばかりなのに。
だけどそんなの関係ないくらい…、君が、愛しい。
「俺、人間じゃねーけど…」
「ノープロブレムだよ。すっごく心臓が速いトウキ君がここにいる。それだけでいいよ」
「うるせー…」
そう言うお前だって。
誰もいない、二人だけの世界。
ゆっくりと離れて、どちらからともなく、顔を近づけていった…。
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