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ラナがそう言い切ったと同時に、トウキはグッとラナの肩を引き寄せる。
「……そういうことだ」
ラナはほぅ、と小さく息をつき、安心したように目を閉じる。ずっと束縛されていた鎖が外れて安心したのか、一筋の涙が伝う。
トウキは何も言わずにその涙を拭った。
「……認めるか、そんなこと」
地を這うかのような声にラナはびくりと肩を震わせる。
眼前にはカタカタと怒りにうち震えるシロトの姿があった。
「ラナ……、わかってるのか。そいつは人間じゃない」
「そんなのっ、関係無い!!」
ラナはそう叫び、俯いてしまう。
「関係、無いよ……」と力無く呟くのをトウキは聞き逃さなかった。トウキはいとおしそうにラナを抱き締める。
「……泣くなよ。事実だし、お前がそう言ってくれるだけで十分だから」
「ふ、う……」
ラナはその言葉に益々涙を溢れさせて、嗚咽が漏れないようにしながらギュッとしがみつくように抱き締め返した。
「……トウキ君は……心は人間だよ……。とっても優しくて、温かい」
その言葉に、トウキは何も言わなかった。
ただただ、優しく微笑んで、泣きじゃくるラナの頭を何度も撫でてやっていた。
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