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「ふざけるな、ふざけるな……!! ラナは俺のモノだっ!!」
ダンッ、と床を蹴ってシロトが駆け出した。
トウキはすぐにラナを放し、「離れてろ!」と言って振りかざした剣を後ろに跳ぶことで避ける。
バキッ、と床に突き立った剣を引き抜いて、シロトはギロリとトウキを睨み付けた。
「退治してやる……! 化け物め……」
「やれるものなら」
ニヤッと笑うトウキに、シロトは益々気に食わなそうに歯軋りすると再度剣を構える。
ほわっと剣が白い光を帯びて、シロトがそれを軽く振った。
トウキはそれを見て険しい顔を浮かべると、ザッと右足を引き構える。
「この退魔の力で……ぶっ殺してやる。封印なんて生易しいのはやらない」
「はっ」
シロトの言葉を鼻で笑うと、トウキは「やられねぇよ」と言って両腕を交差させる。
軽く仰け反ると、交差させた腕を勢い良く引いた。
すると、何か黒いものがシュピッと音を立てて放たれた。
「黒刃!!」
(あれは……黒い刃?)
ラナははらはらと二人の様子を見守りながら首を傾げる。
「ちっ」
シロトは軽く舌打ちすると迫る黒い刃を剣で弾く。
トウキはひゅう、と感心したように口笛を鳴らすと「へえ、案外やるな」と呟いた。
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