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「悪いが隙は与えない。ここで死ぬわけにゃいかないんでね」
ニッと笑い、トウキは高く跳んだ。人間では考えられないくらいの高さだ。
手のひらを下――シロトに向けてかざす。
「黒波」
言うや、真っ黒な何かがドバッとトウキの手から放出される。
それは荒波のようにシロトを襲う。シロトは退魔の剣を自身を守るように掲げた。
「ナメるなっ……!」
黒い波は退魔の剣に弾かれて、瞬く間に消えてしまう。
トスッ、と床に降り立ったトウキは口を引き結んでシロトを睨む。
「……ナメるなよ。退魔師である俺が魔力を防げないとでも思ってるのか」
「……ちょこーっとな」
「殺す」
シロトが退魔の剣を構え走り出す。
トウキは黒刃を放ち、シロトを止めようとするが、全て退魔の剣に薙ぎ払われた。
「魔力をブーメランのように放つ黒刃。魔力を一気に荒波の如く放出する黒波。じいさんに聞いた通りだ。変わらないな百年前から」
ニタリ。
そう口元に三日月を描いた刹那、退魔の剣がトウキの頬をかする。
「トウキ君っ!!」
「ちっ」
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