いらない運命

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「お呼びですか…」 ガチャ、とドアを開ければ広く豪華な部屋。 高級そうなベッドに腰掛け、部屋の主はラナを見て笑みを浮かべた。 「待ってた、ラナ。今日は言いたいことがある」 「…はい」 また、ろくでもないことだろうか。 侍女として雇われたものの良いことは一度たりともない。吐きたい溜め息を飲み込みラナは言葉を待った。 「今日、俺の婚約パーティーを開くんだ」 「はあ…」 すっと立ち上がり、シロトはラナに一歩ずつ近付いてくる。ラナは後ずさることもせずただ俯いていた。 やがて眼前に来たシロトはそんなラナを満足そうに見やりながら口を開く。 「お前を婚約者として紹介する」 「…え…!?」 その言葉に、目を見開き、ラナは困惑の表情を浮かべながら顔を上げた。 嫌だ、嫌だ、嫌だ。 嫌だ、嫌だよ。 だけど、だけど言えない。 何より。 「わかったか?」 逆らえない。 「……はい」
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