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ドクン。
いつになく心臓が熱い。
トウキはまるで眠っているような感覚の中、そう思った。
痛みも、悲しみも。もう感じたくはなかった。
(初めて、だったんだ)
一緒にいたいと思ったのも。
守りたいと思ったのも。
愛しい、と思ったのも。
それなのに守れなかった。傷付けてしまった。
何一つ、してあげられなかった。幸せに、したかったのに。どうか、どうか。
俺の命ならいくらでもやるから。俺はどうなってもいいから。
だから……。
彼女に、幸せな未来を。
その為なら。
俺は痛みや悲しみに、押し潰されても構わないから。
「ウアアアアアアアアア!!」
悲しき咆哮と共に。
シロトの視界がぶれた。
「がっ!」
殴り飛ばされたシロトは、すぐに立ち上がろうとするも、眼前で自身を見下ろすトウキに固まってしまった。
そこには歪んだ笑みでシロトを見下ろすトウキがいた。ぞくり、と背筋を悪寒が走った刹那、シロトは頬に衝撃を感じた。
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