護るから、だから

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「――っ、う、あ」 ベシャッと倒れるラナ。 みるみるうちに大きくなる血の水溜まりは彼女の怪我の重さを物語っていた。 「ラ、ナ」 ふらり、とトウキが歩き出す。理性を失った筈だったトウキは、糸を伝うように拙くゆっくりとラナへと向かっていく。 闇に沈んだ心が、目の前に倒れる少女を求めて浮き上がってくる。 「ラナ、ラナ……?」 少女を優しく抱き抱えて顔を覗き込む。 少女は薄く目を開けて、にこりと小さく、弱々しく微笑む。少年が、再度少女の名を呼んだ。 「ラナ……。一緒に生きよう。ずっと一緒にいよう。俺にはお前が必要なんだ」 すぅっ、とトウキを取り巻いていた禍々しい魔力が消えていく。 優しい笑みを浮かべて、涙ぐみながら、懇願するように、トウキはラナを抱き締める。 「……ふ、ふ。いいなぁ。トウキ君と……いっ、しょに生きる、なら……きっと、し、あわせだね」 ドクドクと止まらない出血に、トウキは止まれと言うように強く強く抱き締める。 止まれ、止まれ。 死ぬな、生きろ。 「……だって、わたしは……トウキ君が……、 いとしいから……」 にこり。 笑顔を浮かべたラナが、カクンと力なくトウキにもたれ掛かる。 「……ラナ」
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