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生涯きっと、君だけしか愛さないだろう。
愛しく思わないのだろう。泉のように湧き出てくる、この甘いような切ないような想い。
好きだと、愛しいと、叫びたいのに体は縛り付けられたように、動かない……。
私は、死んでしまったのかな……?
「……ラナ。好きだ。今まで生きてきて、お前が一番、愛しいって、一緒にいたいって思った。きっとこれからも、俺はお前だけを想う。好きだと。愛しいと。まだ……伝えきれてねーんだよ。
なぁ、ラナ?」
トウキの言葉に、ラナは全く反応しなかった。
トウキは悲しげに顔を歪める。ぽたり、ぽたりとラナに落ちる滴は、涙。
トウキは、涙を拭い、自分にもまだあったのかと自嘲した。
ぐしぐしとそれを拭うと、苦しそうに笑う。
「……ラナ。俺はお前を、
愛してる」
そっと覆い被さるように、トウキはラナにキスをした。
それが永遠と呼ぶには余りにも刹那ではあった、が。それでも永遠を思わせるくらいに、優しく。
涙の味のする、口付けを。
「俺の命で、お前が助かればいいのに」
そっと唇を離し呟く。
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