護るから、だから

9/11
前へ
/57ページ
次へ
生涯きっと、君だけしか愛さないだろう。 愛しく思わないのだろう。泉のように湧き出てくる、この甘いような切ないような想い。 好きだと、愛しいと、叫びたいのに体は縛り付けられたように、動かない……。 私は、死んでしまったのかな……? 「……ラナ。好きだ。今まで生きてきて、お前が一番、愛しいって、一緒にいたいって思った。きっとこれからも、俺はお前だけを想う。好きだと。愛しいと。まだ……伝えきれてねーんだよ。 なぁ、ラナ?」 トウキの言葉に、ラナは全く反応しなかった。 トウキは悲しげに顔を歪める。ぽたり、ぽたりとラナに落ちる滴は、涙。 トウキは、涙を拭い、自分にもまだあったのかと自嘲した。 ぐしぐしとそれを拭うと、苦しそうに笑う。 「……ラナ。俺はお前を、 愛してる」 そっと覆い被さるように、トウキはラナにキスをした。 それが永遠と呼ぶには余りにも刹那ではあった、が。それでも永遠を思わせるくらいに、優しく。 涙の味のする、口付けを。 「俺の命で、お前が助かればいいのに」 そっと唇を離し呟く。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

186人が本棚に入れています
本棚に追加