護るから、だから

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トクン……。 今微かに聞こえたのは何の音? 「……ラナ?」 トウキは、未だ眠ったままのラナを覗き込む。 そして視界に入ってきた光景に目を見開いた。 「……!」 ラナの、傷が塞がっていく。 そして聞こえてくる、鼓動。 ラナからはすぅすぅと寝息のような吐息が漏れている。 トウキは、じわり、とまた涙を浮かべ、ラナを抱き締めた。 首筋を擽るラナの吐息。体から伝わってくる、鼓動。トウキは、涙を流して、暫くの間ラナを抱き締めていた。 「……んぅ」 やがてラナの声に体を離せば、ゆっくりと目を開けるラナがいた。それにまた涙が溢れて、それを見せまいとまたトウキはラナを抱き締めた。 「トウキ……君?」 「ラナ。好きだ。誰よりも愛してる。何があっても俺が護るから、だから…… ずっと傍にいてくれ」 その声は震えていて、泣いているのだということがわかった。 ラナはそれには触れずに、ゆるゆるとトウキの背に腕を回す。 うん、と涙を流しながら、大きく頷いて。 「私も好きだよ。トウキ君が誰よりも。ずっと、傍に……いさせてください」 ぎゅ、とすがるように服を握り締めた。
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