いらない運命

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いきなり話しかけられたことに困惑した表情を浮かべ、ラナはつっかえつっかえに言葉を紡ぐ。 「う、あ、えと、ラ、ラナ…です」 「ふーん」 その様子に、シロトは気に入らないのか小さな舌打ちするとラナを怒鳴り付けた。 「ラナッ!余計な口を聞くな!!」 ラナはビクッと体を跳ね、すみませんと小さく言った。 トウキはそんな様子を見て何やら思案を巡らせるように黙りこくった。 そして、今までただ睨み付けていたシロトに問う。 「その女、お前の何だ?」 「…婚約者だ」 その言葉に、トウキはふぅんと呟いた後、人知れずニヤリと口元を歪ませた。 ラナは浮かない顔で俯く。 すると、ふわりと体に浮遊感。驚く暇もなく、膝裏と肩に手が添えられ、ラナは咄嗟に手近なものにしがみついた。 「じゃあ」 すぐ耳元で聞こえたのは、自分よりも低い、聞き慣れない声。 そこで、自分がしがみついたのが首だということに気付く。 「…へ?」 ただ目を見開いたまま、眼前の少年の顔を見詰めた。 「な、お前何を」 戸惑うシロトの声がすぐ近くで聞こえる。 それよりもずっと近くでククッ、と押し殺したような笑い声が聞こえた。
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