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何も警戒する必要はない、それなのに何故僕の身体は逃げの体勢をとっているんだ。
「?先輩?」
……ああ、そうか……………………身体が逃げている理由が分かった
「誰だ……君」
「……和歌里語です!!!」
だって昨日はあんなにも僕を睨みつけて挙げ句の果てに平手打ちを喰らわしてくれた語さんがこんなにもフレンドリーで話しかけてくるものか
ならそっくりさんか、あるいは双子の姉妹とかだ。どちらもミステリーでは反則である
僕は距離を置いていた身体を意識的に動かしその語さん(自称)に近づいてみる
服の汚れ、髪の長さ、そして控えめな胸。確かに昨日見た語さんと共通項は多い
しかし昨日の雰囲気とは何か違う…………何か語さん(自称)の目つきがどんどん変わってきている。それは昨日見たあの猜疑の眼差しと似た輝きを放っていた。
「……うん、語さんだ。疑って悪かった」
「一体何なんですか」
とうとう頭のデータが現実と一致した。
改めて見ると一目瞭然なのだが何で僕はこんなにも疑心暗鬼になってたんだろうか
いくら弟の恥辱行為を見たからってあそこまで………
「先輩!」
流石にぼうっとしている時間が多かったようだ。
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