0:序章-02

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 シャーペンの芯が折れて意識が覚醒したときにはすでに5時間目が終わっていた。 「……………また、か」  これで僕は今日一日で二回も気絶していたという事になる。それにしては授業のノートとか全部取ってあった。この筆跡は確かに僕のもの、自分の無意識が恐ろしい。 「……………はぁ、家に帰りたくない。」  弟とどんな顔をして話せばいいんだ、弟は逃げる僕を見て何を思ったのだろうか。 一体何が弟を変えたのか。考えれば考えるほど頭痛が起きてくる。 「うががががががぁぁぁ……」  三度目の気絶をする直前に古典の教師が入ってきた。論理ぶって古典のくせに哲学とか語りやがる奴だ。暇人なんだろうな、きっと。 僕は何とか意識を留めて、机に散乱している文房具を整理し古典の一式を鞄の中から取りだした  そして古典が始まったわけだが相変わらずというか不変的事象というか案の定その古典の先生は妙ちくりんな哲学の話に入り始めた。どうやって方丈記から哲学に入るんだ。 哲学と随筆はどうやって結びつくんだ。 日本での哲学は現代になってからの方が多いのに何で古典で話すんだ。 突っ込んだらキリがない。だがそのキリのなさが僕の意識を断続的に覚醒させていった。
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