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「けどまるっきり分からないという訳じゃないんだよな……」
おそらく分からない人はすでに睡眠という無意識下に置かれることとなっていることだろう。
ふとそれから連想して語さんの顔が脳裏に浮かんできた。
「流石に失礼だったか……」
僕は身体を屈ませ机の中から一枚の紙切れを取り出す。
昨日雫さんに見せた語さんのテスト、主に漢字の所だけが丸が付いており他はほぼ全滅状態にある
僕だったらこんな点数の物誰にも見せたくない。しかし僕はそれを彼女の好きな人に見せてしまった。気持ちは分かる。
けどこの無機質な答えを見るとそんな気持ちも凍てつくほどだ。
彼女は国語は苦手だが、それ以外はほぼ完璧な少女。
だから恐い、無機質な回答だけでさえ無意識に怖気がするのにこのような答えを出す人材が社会に出たとしたら。
「にぃ、にぃ、にぃ…………」
…………………僕は嫌なことから逃げるようにそのまま机に伏せて三度目の無意識下へとおちていく。
せめて、せめて楽しいことだけを夢に見ますように。皆が幸せになるような、絵空事のようなそんな夢を。
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