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「お願いします。どうか私を先輩の助手にしてもらえませんか!」
…その勢いに僕は一瞬たじろいだ。真剣に頼んでいる人に対してその反応はあまりにも失礼なものだが、それを我慢するというのは少々酷だろう。
混乱した頭の中で僕はせっせと情報を整理し、ある程度状況を判断するための簡単な質問を練り上げていく。
「助手……というと何の…」
「先輩が昨日言っていた相談事のことです。」
昨日の記憶を引き揚げて情報を繋ぎ合わせる
「確かに言った、けど君にはまだ言ってなかったはずだけど…」
昨日の記憶が鮮明になればなるほど自分の言動がこじれていくのが認識できる。思い出した、雫さんだ。雫さんに言ったんだった。語さんに伝えるようにと。
「はい、雫ちゃんが私に先輩の手伝いをして人の気持ちをしっかりと知って貰いたいと言っていましたから。」
「へぇ…」
しかしこうも素直に受け取られるというのも違和感が残る、少しくらいは渋るものかと考えていた。そう推測させる一因がこの無機質な恐怖を纏っている紙切れである。改めて見ようとした途端語さんが刹那の如く紙切れを奪い取りシュレッダーを超えるような速さで細切れにしていった。おそらく復元は無理だろう。
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