0:序章-03

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語さんはこの後何も言わなかったがおそらくこのお願いは子供がよく使い絶対に守らない「一生に一度」のお願いなのだろう。それ自体の言葉はないが一語一語がそれを物語っている。言葉に出ていない以上嘘であるはずがない。 僕はほんの少し悩んだ、そうしてその願いに頭をゆっくりと縦に下げた。断る理由がない。 「…ありがとうごさいます」 泣いたようでも喜んだようにも見える謝辞を述べて彼女の目は確固とした決意が映りだした。 僕は一息ついて姿勢を崩す、こう張り詰めた空気は精神を著しく削り取っていくから僕にとってあまり望ましいことではないことだ。 「それではお世話になります!」 そう言って僕の丁度右、僕のどうしようもない友人の席に語さんは期待に胸を寄せて座る。 僕は何をするでもなくそのまま机に倒れ込んだ。
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