0:序章-01

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「ん…」  僕はしっかりと自らの身だしなみをガラスに映った姿を見て整える。  これから女の子に会いに行くのにせめて印象くらいは良くしなくちゃ。 普段考えてないことを考えてる僕、これだから日常への脱却は面白い。 「よし」  心を落ち着け僕は一年三組の教室のドアを開けた。  夕日で赤く染めあげられているなか二つの影が異彩を放っている。 髪を後ろで縛っている子と髪を肩まで下げている子、どちらも小柄だ。 二人とも急な客人に戸惑っていたみたいだけど僕が二人の所へたどり着くまでにある程度飄々とした態度で僕なんて最初からいなかったかのようにまた語り始める。 さりげに傷ついた。 「…やぁ初めまして」  まずは二人の興味を惹くことから始める 一応反応してくれたようで二人の顔はこちらを向いてくれた。髪を縛っている子は疑問的な顔を向けてくれたが、肩まで伸ばしている子は猜疑心溢れる顔で睨みつけてくる。生憎僕が用があるのは猜疑の眼差しを向けてくるこの子。 なんとなく気まずい。 「僕は二年二組の果梨美繰(はてなしみくり)と言います。和歌里語(わかさとかたり)さんというのは貴方ですよね」
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