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三四郎はおれが故郷を離れ、ここへくる途中で拾ってきた乞い人でした。
十の若さで病に倒れ、親親戚に見離され、途方に暮れていた。
そんな三四郎も今やすっかり元気になっている。あの日道端で寒さと飢えに震え、死にかけていた小さなガキとはまるで嘘の様に。
一転、十年の歳月か…人は季節と同じ、変わりゆくものです。
だが十年の歳月はおれにとって、気づくほどのものではなかった。
一度眠ってしまい、めざめるといつの間にかこうなったのです。
どうもおれは、うっかり無駄な年をただ重ねてゆく事に対する関心は歳月と共に薄れてしまった様だ。
十年間、少年は大人に成り変わり。
人斬りは、人斬りのままでした。
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