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左様。
おれは桐守総二朗、職業は人斬りです。
がしかしここ表では中村喜介と言う名の茶屋店主として通している。
怠け者の茶屋店主で。
かつておれもひとりの武士として、幼い頃日々剣術に励み、鍛練し…いつか己の力で手柄を立て功名を貰い受けると、愛する人と別れて田舎を出てきた。
侍となるべく。
よもや旅の途中にて、訪ね先となるはずの殿方は戦場で討ち死に。
まだ会ってもいない主君を失いおれは、そのまま浪人となった。
だがおれは、故郷へに戻る気にはどうしてもなれん…
あの人に己の無様な姿を、見せたくはなかったのです。
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