―第4楽章―

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教室に着いてすぐに彼の姿を見つけた。 私は仁に歩みより、勢いで問い詰めた。 「…記憶喪失なの?」 「単刀直入だな。そうだよ」 「どうして…どうして、正人にそれを言わなかったのよ!」 「言ったらどう変わっていた?それに、殴られてたならそれでもよかった。殴られるだけのことはしている」 「それでも…」 それでも、言って欲しかった。 それだけしか願わないのに…。 「泣くなよ」 「…泣いてない」 頬を何かが伝うが、それは汗だ。 走ったから流れているだけだ。 そう思うことにした。 「…何も…覚えてないの?」 「一つ、覚えてることがある」 「…!何!?」 「ジャングルジムと…キーワード」 「キーワード?何の?」 「さぁ?」 それは《見つけてね》の言葉に繋がるものだろうか。 答えは仁自身も知らない。
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