―第4楽章―

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学校からの帰り、私たちは正人の家へ向かった。 夕日は傾いていて、公園からの景色は絶景だった。 「…ユンナ、見てよ。あれ」 クルミが指差したのは、工事予定の看板。 「この公園も消えちゃうんだ…」 「しかも、急ね。工事、明日からですって」 寂しいことばかり積み重なる。 私たちは歩みを止めず、正人の家に行った。 「くそ!何で出来ねぇんだよ!!」 玄関でまず聴こえたのは怒号。 次に乱暴な《悲愴》。 そして、ミスタッチ。 私たちは慌てて彼の部屋まで行き、中へ入った。 「正人、落ち着きなさいよ!」 「うるせぇよ!悔しいんだよ!何なんだよ!俺たちを忘れたやつの方が、何であんな綺麗な音を出せんだよ!思い通りにならない!俺の一音なんてイライラする!」 正人は取り乱していた。 そんな彼を、私は見ていられなかった。 「《音を楽しむ》…いつも、正人が言ってたよね。楽しい?眉間に皺寄せて、何が楽しいの?弾き手も聴き手も楽しめないものは、音楽じゃなくて雑音よ!」 正人は何も言わない。 悔し涙を流していた。 ただそれだけだった。
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