540人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
正人が落ち着いてから、私たちは音楽室での話をした。
「…マジかよ。記憶喪失って…。ちょっと待ってろ!」
正人はパソコンを立ち上げて、インターネットで事故について調べ始めた。
「…あった。…確かに時期が一致する。死者はいないが怪我人が多い。仁がここにいた可能性は十分にあるし、記憶喪失ってのもマジっぽいしな」
「記憶って…戻らないの?」
「いや、戻ると思うぞ」
珍しく正人が自信たっぷりに言った。
「何かの本で読んだんだけど、人の記憶って複雑に絡み合っているんだ。その一部を刺激すれば、全体に行き渡って、思い出すんだとさ」
「刺激か…。あの曲を聞かせるとかは?」
「いいかもな、それ!楽譜は?」
「いつも持ってるって言ったでしょ?練習開始よ!もちろん、楽しみながら、ね」
勝負は明日の放課後だ。
最初のコメントを投稿しよう!