―第4楽章―

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正人が落ち着いてから、私たちは音楽室での話をした。 「…マジかよ。記憶喪失って…。ちょっと待ってろ!」 正人はパソコンを立ち上げて、インターネットで事故について調べ始めた。 「…あった。…確かに時期が一致する。死者はいないが怪我人が多い。仁がここにいた可能性は十分にあるし、記憶喪失ってのもマジっぽいしな」 「記憶って…戻らないの?」 「いや、戻ると思うぞ」 珍しく正人が自信たっぷりに言った。 「何かの本で読んだんだけど、人の記憶って複雑に絡み合っているんだ。その一部を刺激すれば、全体に行き渡って、思い出すんだとさ」 「刺激か…。あの曲を聞かせるとかは?」 「いいかもな、それ!楽譜は?」 「いつも持ってるって言ったでしょ?練習開始よ!もちろん、楽しみながら、ね」 勝負は明日の放課後だ。
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