―第5楽章―

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翌日、放課後。 「どこに連れていく気だよ、おい」 音楽室は合唱部が使うため、私たちは正人の家の防音室を借りることにした。 「いいから来るの!」 正人は顔を合わせづらいらしく、一人で先に行ってしまった。 私とクルミは嫌がる仁を引っ張りながら、あの夕日の綺麗な公園の前を通って正人の家へ向かった。 「着いた!」 「入って!」 「…俺、暇とは言ったけど、来るって言ってないよな?」 『いいから入りなさい』 同時に言ったのが効いたらしく、渋々彼は防音室へ入った。 「何をする気…―」 仁の言葉を聞かず、私たちは楽器を構えて曲を始めた。 もちろん、仁にもらった、題名のない楽譜だ。 まず練習記号Aの部分。 ここは反応があった。 そしてB。 この場面には一小節目に不自然なフェルマータがある。 そこに差し掛かった途端、仁は怪訝そうな顔をし、ため息を着いて席を立った。 「ちょっと待ってよ!」 私は思わず演奏を止め、帰ろうとする彼を呼んだ。 「最後まで聴いてよ!」 「未完成の曲なんて聴けるかよ」 最初は意味が分からなかった。
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