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「待ってよ!」
「…君もしつこいな」
あきれ半分で言うが、仁は私を追い払おうとしなかった。
「私、昔ね、仁に《見つけてね》って言われたの。何をかは覚えてないんだけど、昨日の仁が言ってた《キーワード》ってのが気になってて…それが、あの曲に関係ある気がして仕方がないの」
「…俺も、そんな気がする。けど、残念ながらそれをどこに隠したか、どういうキーワードだったかは思い出せない」
「そっか…」
「…この公園」
仁の視線の先にある公園は、もうすでにブランコやシーソーが撤去されており、ジャングルジムだけポツンと残されていた。
「よく、ここで遊んだわ。仁はジャングルジムが好きだったのよ」
「ジャングルジム…」
そう呟くと、仁は慌てて「…用事を思い出した。帰る」と言って走っていった。
「ちょっと!仁…!」
「また明日!」
初めてだ。
仁は帰ってきて初めて、私にちゃんと挨拶をしてくれた。
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