―第5楽章―

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翌日。 いつも通り音楽室に行くと、二人が難しい顔をしてあの楽譜とにらめっこをしていた。 『おはよう』 「…おはよう」 あれからずっと、曲について考えていたが、結局何も浮かばなかった。 「…十年前、仁は何て言ってたんだっけ?」 「外国って遠いのかな?って言ってたのは覚えてる」 「公園で言ってたわよね」 「ユンナは泣くしな」 「正人、思い出させないで…」 「そんで、その後…楽譜渡されて…」 「仁はジャングルジムに登って…―」 「ちょっと待って…」 曖昧だった記憶が鮮明になっていく。 確か、仁は…―。 「石を…小石を持ってジャングルジムに登ったわ!尖った小石よ!私の足元にあったものを拾ったんだもの!間違いないわ!」 「小石を持って登って…どうするんだよ」 そこから先は考えてなかった。 けれど、昨日の仁の反応を見る限り、ジャングルジムに何かがあるはずだ。 「今すぐ公園に…―」 「無理だろ!もう工事が始まる!ジャングルジムも…もう…」 「心配要らない」 不意に、ドアの方から声がした。 そこには、仁の姿があった。
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