―最終楽章―

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「心配要らないって、どういう意味?」 仁は鞄から袋を取り出すと、その中から焦げ茶色の鉄の棒を取り出した。 「…これは?」 「ジャングルジムの一部」 「…窃盗罪」 「仕方なかったんだ!だが、これであってるはずなんだ。」 「だから、何が?」 「《キーワード》、これに石で書いたはずなんだ」 仁は錆び付いたジャングルジムの一部を私に渡して言った。 「少しだけ、思い出したんだ。俺、小石でこれに何かを書いたんだ。それから、お前らに見つけるように言ったんだ」 「何かって?」 「…ごめん。そこまでは…」 仁は極力(覚えてない)と言わないようにしているらしい。 何となくそれが伝わってきた。 「やすりで削ったら分かるかも…技術室に行って紙ヤスリ貰ってくる!」 「あるよ。紙ヤスリなら」 「何で仁が持ってるの?」 「同じことを考えたから、持ってきたんだ」 私たちは出来るだけ慎重に錆だけを削っていった。
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