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私に歩幅を合わせ、一緒に煙草をふかしながら歩くセイジ。
「両手に花、捨ててきたの?」
「花……ねぇ。バカな花なんかいらないからさ」
かわいい笑顔で、随分な毒を吐く。
ふ~んと、そっけない返事をして、歩き続ける私に
「どこまで歩くの?」
なんて言ってくる。
「……どこまでついてくる?」
「家まで」
「じゃ、あと1時間だね」
ニヤリとセイジを横目で見上げる。
セイジは、仕方ない……と笑った。
他愛のない会話をしながら繁華街を抜け、私の家の近所の公園に着いた。
「ここで45分、休憩取るよ」
ブランコに腰掛けると、セイジも隣のブランコに腰を下ろした。
「変わった女」
意地悪な笑いでこっちを見る。
「それ、誉め言葉だし」
私も同じ笑いを返す。
「……満月。いいね」
空を見上げて言う私に、意外とロマンチストじゃん、とこぶしで腕を押してきた。
「意外は余計」
バッグから煙草を取り出して、笑いながら火をつける。
……あら?あるじゃん、私の煙草。
「あ!嘘吐き発見。煙草ないとかさ。探すフリして……俺の事待ってた?」
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