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「……はい。……あぁ~、やっぱり……。いえ、待ちます。……はい、お願いします」
小さな街の週末。タクシーはどこも混んでいた。
3社に電話をしても、30分待ちは変わらなかった。仕方なく折れた時には、家に来てから20分経っていた。
1社目で折れてれば、もうすぐタクシー来てたな……。
「30分待ち、どこも一緒みたい」
「まぁ、週末だし。しゃあないね」
セイジが、出されたコーヒーにゆっくり口をつける。
なんてことないその仕草に、ついつい見入ってしまう。
「しっかし、男の部屋みたいだな」
部屋をグルッと見回す。
「もっと飾りなよ。女の子なんだからさぁ」
この男、すっかり馴染んだのか、元々の性格か……。
私が気にしてる事を、サックリ言ってくれた。
たしかに『女の部屋』とは言われませんよ!でもね、飾りたくないわけじゃない……。
「飾るの苦手なんでしょ」
……正解。
「……よくわかったね」
「まぁ……、そこら辺は」
軽く笑って話出す。
何でも、私は自分の魅力をわかってないんだって。
もっとラインの出た服がいいとか、髪の毛の色も明るくした方がいいとか。
歳のわりに、落ち着いて見せすぎとか。
なんだかいろいろ言われた。
自分を飾るのが苦手だから、他の部分も飾り方がわからないんだろうって。
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