さよなら

3/12
前へ
/233ページ
次へ
今じゃ、告白も別れも、全部メールで済ませたりするんだってね。 私は好きじゃないけど。 言霊ってあると思うよ。やっぱりさ。 大事なことは、言葉にした方がいいんだって。絶対に。 文章なんて、相手によっては捉え方が違っちゃうんだから。 だから私は、言葉を大事にするの。 「やっぱ!ここだったかぁ」 リカが資料室に入ってきた。 私に言いたい事あるんでしょ。 そう問いかけると、案外素直にうなずいた。 「セイジ君の事なんだけどさ……」 言いづらそうにするリカ。 何かわかったんだろう。いいよ、言っちゃって。今の私、もう傷付く部分は残ってないから。 「どしたの?」 わざとらしく聞く私。 「あのさ、サヤカいるじゃない。一緒にいたんでしょ?」 うん。いたね。 「あのコさ、結婚してるの」 リカはハズレ君と、タカちゃんに相談していた事を教えてくれた。 そこから得た情報も。 「勝手な事してごめん。辛そうなユキ見てたら、何かしなくちゃって思って……」 だけど、いろいろ考えてるうちに、自分のしてる事が『邪魔になる』と思ったんだって。 最初はカチンときた。正直言って。でもね、リカの気持ちわかるから。今回は許すんだ。
/233ページ

最初のコメントを投稿しよう!

601人が本棚に入れています
本棚に追加