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そもそも『好き』って感情は何でしょ?
相手を大切に思うとか、一緒にいたいとか、触りたい・触られたいとか?
でも時間が経つと、自分が想う割合いと同じぐらい、自分を思って欲しい。
そんな見返りを求めちゃう。
そうなると、相手が自分を好きかなんて考えてないし……。
「難しいねぇ」
「そんな難しいか?」
いつの間にか、セイジが後ろにいた。
テレビでは丁度よく、クイズが繰り広げられている。
私の独り言は偶然にも、違和感ないものだったみたい。いろいろ聞かれなくてよかった。
まだ微妙に、心の準備ができていないから。
「全然気付かなかった。お疲れ。何か飲む?」
私はテレビのクイズ番組について、軽いいちゃもんをつけながら、コーラを注ぐ。
「ん。サンキュ」
セイジはそれを受け取って、一口飲んだ。
いつもと変わらないセイジ。
私について、あれこれ悩むなんてないんだろうな。そう思いながら、テレビから出題されるクイズに二人で答え、笑い合っていた。
「セイジはいつも変わらないね」
それは意味を含めた言葉。
セイジは気付くかどうか、それを試す私の言葉。
「まぁね」
気付いてないみたいね。
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