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「悩む事ある?」
さらに突っ込んでみる。
「そりゃ、人間だからねぇ」
じゃあ、誰かの気持ちを真剣に考えて、それで悩む事はあるのかな。
「ユキちゃんは、そんなんで悩むの?」
『そんなんで』
セイジにとっての、人の気持ちの重さを言葉がそれ。
「私はいっぱい考えるよ。好きな人なら特に、いろんな考えとか知りたいと思うし」
あぁ、なんかうまく言葉が出てこないし。話が噛み合ってるのかすらわかんない。
私はただね……
「セイジとちゃんと話がしたいの」
何の話かはわかんないんだけど。私はセイジを知る鍵が欲しいのよ。
「もう、逃げないで」
セイジを真っ直ぐ見る。
予想外に、セイジも私をちゃんと見ている。
「お前には参るな」
また予想外な反応。
笑ってるんですけど。
サヤカの指示があるからかな?指示があれば、嫌な話にも素直に応じる犬かよ。
「どうしてサヤカといたの?」
不器用さがにじみ出てるでしょ。
ソフトに言えないの。
「何でって、誘われたから」
不思議そうに答えるセイジ。
「誘われたら、誰にでも付いていく人なの?」
言葉がどんどん棘を持つのを、自分で感じている。
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