そして私はメールを送る

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〈とりあえず、会って話しようよ〉 私は許すとも、許さないとも言わなかった。会うことが優先だから。 《出るなら、夜にしない?》 私はそれを快諾した。 週末に、昔よく一緒に行った居酒屋に行く事にした。 居酒屋好きなんだよね、私。 洒落た飲み屋よりも、ずっと落ち着くから。かなり庶民チックでしょ。 一旦メールを終わらせ、一息つく。 私は人間がわからないよ。 あんなに憎んでた相手に、すんなり謝るもの?普通さ。 それもサヤカの作戦かもしれないけど。 私が持ってるのは、優しさじゃなく『甘さ』。サヤカはそれをわかって、言ってきてるんだろう。 でも残念! いろいろ勉強して、甘さを無くしてしまったんだよね。 今日はとても静かだ。 セイジからのメールがないし。 それは当たり前なんだけど、何と無く……本当に何と無くだよ。 寂しいんだ。 だけど後悔はしないの。 それが私の選んだ道。しかも本気でね。 ちょっとしか経ってないのに、ずいぶんタフになったんじゃない?前の私なら、きっと鳴いてるよ。 こんなに辛くて寂しいなら、あんな事を言うんじゃなかったって。 激しくカッコ悪いよね、私。 見る人見たら、今の私もカッコ悪いかもしれない。 だけど自分では、最高にカッコイイつもりなんだ。
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