そして私はメールを送る

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土曜日。約束の日が来た。 私は約束の時間の10分前には、居酒屋の前にいた。 10分前行動、5分前整列。学生の頃、先生が言ってなかった? 「あ……、久しぶり」 何と無く気まずそうなサヤカ。私が堂々としすぎてるからだろうけど。 「入ろうよ」 私は昔のように振る舞った。 再会が嬉しくないわけじゃない。楽しかった時期が多いから。 別れた男に会った。そんな心境に近いかもね。 「生……でいい?」 あまりにも私が普通すぎて、サヤカはついて来れないみたいね。 うなずくから、生二つ頼んでやった。 「乾杯ね」 私がジョッキを差し出すと、サヤカも同じく差し出す。 しばらく、他愛のない話をした。お互い、『あの事』には触れなかったけど。 お酒も適度に進んだし、いろいろ聞き出すか。 「あの『彼』と結婚なんて、ビックリだよ」 私は煙草をふかしながら笑う。 「あぁ………」 目を伏せるサヤカ。 「いいじゃん。私はふっきれてるんだから、今日は赤裸々告白にしようよ」 そう?なんてちょっと乗りかけてる。サヤカって、酒が入ると、かなりいろいろ喋ってくれるんだよね。 「そうだよ!もう、腹割って話せるでしょ」 あんな事あったんだしな。
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