601人が本棚に入れています
本棚に追加
土曜日。約束の日が来た。
私は約束の時間の10分前には、居酒屋の前にいた。
10分前行動、5分前整列。学生の頃、先生が言ってなかった?
「あ……、久しぶり」
何と無く気まずそうなサヤカ。私が堂々としすぎてるからだろうけど。
「入ろうよ」
私は昔のように振る舞った。
再会が嬉しくないわけじゃない。楽しかった時期が多いから。
別れた男に会った。そんな心境に近いかもね。
「生……でいい?」
あまりにも私が普通すぎて、サヤカはついて来れないみたいね。
うなずくから、生二つ頼んでやった。
「乾杯ね」
私がジョッキを差し出すと、サヤカも同じく差し出す。
しばらく、他愛のない話をした。お互い、『あの事』には触れなかったけど。
お酒も適度に進んだし、いろいろ聞き出すか。
「あの『彼』と結婚なんて、ビックリだよ」
私は煙草をふかしながら笑う。
「あぁ………」
目を伏せるサヤカ。
「いいじゃん。私はふっきれてるんだから、今日は赤裸々告白にしようよ」
そう?なんてちょっと乗りかけてる。サヤカって、酒が入ると、かなりいろいろ喋ってくれるんだよね。
「そうだよ!もう、腹割って話せるでしょ」
あんな事あったんだしな。
最初のコメントを投稿しよう!