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「会いたいと、素直に伝えればいい」
不意に後ろから声がした。
振り返らなくてもわかる。
セイジの声だもん。
「……会いたいって言えない時は、どうすりゃいいのかな」
「勝手に会いに行けばいい」
ネコが私を見つめてる。
「そんなのできないから、困っちゃうんじゃない」
できたら、会いたいって言えるだろーが。
私は半分近く残っていたワンカップを、一気に飲み干した。そして勢いつけるの。
思い切って振り返る。
あれ?
ちょっと……。勢いつけすぎたみたい……。目が回るんだけど。
そして………
「気持ち悪い……」
リバースしちゃいそう。こんな時なのに。
チラッとネコを見ると、『ヤレヤレ……』ってな顔をしている。
「おい!バカ!早く帰るぞ」
バカって、あんた……。
文句も言えない私を、セイジは早くと急かす。
「た、立てない……」
本当に大バカだな!と、私の前に背を向けてしゃがみ込んだ。
「早く!乗れ!」
ちょっと苛立つように言われて、シュンとなる私。言われるままにセイジの背に乗り、首に手を回す。
香水の匂いが、吐き気を煽るんですけど。我慢できるかわかんない。
そんな状態でも、セイジの温もりが嬉しいの。私は。
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