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「あ~……、煙草がさぁ、見付からないんだよね」
と顔を上げると、そこには男の人の胸元が。
ハズレ君、いつの間にそんなに身長伸びたのさ?さっきは目線、あんまり変わらなかったよね?
もう一段階、顔を上に上げてみる。
「俺のでよければ一本いっとく?」
………。何だコレ。
「あら、どうも」
差し出された煙草をくわえ、火をつける。
こいつ、今日の一番君じゃない。何でこんなトコにいるの?
「どっちに行くの?」
「このまま歩いて帰るよ」
今日、ハズレ君以外とまともに話をしてる。
私が歩き出すと、一番君も合わせて歩き出した。
「あんたも帰るの?」
「あんたはないでしょ~。ユキちゃん」
一番君は笑いながら、私の背中をバシバシ叩いた。
痛いっつーの。
「……名前、わかんないし」
横目で一番君を見上げた。
背、でかいなぁ……
まつ毛長いなぁ……
笑顔がかわいいなぁ。
「セイジだよ」
笑顔で答える、一番君改め、セイジ。
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