せめて、[普通]でいい

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パタン  静寂が支配する六畳間に本を畳む音が響く。 「私はいつも神様に見捨てられるわよ……!」 誰もいない部屋で、未憂はやり場の無い怒りを口にした。 黒目勝ちの垂れ目はの寝ぼけているせいか、潤んでいる。  今までの悪夢のような日々を思いだし、ふぅ…と白い息を吐き出してベッドに転んだ。 目をつぶると、古びた時計の刻む音だけが耳を支配する。
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