147人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
――生まれた時から散々だった。
母親は未憂を生んだ後病死し、父親は幼い未憂と姉を施設に預けた。
それから父親に一切会っていない。
会いたいとは思わない。
だけど、運動会や授業参観が来るたびに味わった憂鬱感。
[寂しい]という気持ちを嫌でも知った。
両親が居ない孤独感でぽっかり開いた心の穴。
他人に八つ当たりしてしまった事もある。
それでも、なんとか[普通]の女の子でいられたのは、4歳年上の姉・未和が余るほどの愛情をくれたからだろう。
憧れの象徴である姉。
たった1人の家族である姉。
最初のコメントを投稿しよう!