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「わかってはいるんです……。やっと見つかったお兄様ですからね、会いたいという気持ちは痛い程わかるんです」
「ワタシは、大戦中姉妹を無くしました。そんな時、10年前、お嬢様に出会いました」
「こんなことを言っては、身の程知らずもいいところなんですけど……その、お嬢様をほんの少しだけ、妹みたいに思っていたんです」
ポロポロと、ミシャさんの瞳から雫がこぼれ落ちました。
私は、胸がキュッと締めつけられ、たまらずミシャさんを抱きしめました。
「すぐに……帰ってきますよ。あっという間です」
「そうですね……ふふ。お嬢様のほうがお姉さんみたい」
涙が止まったみたいで、ミシャさんは指先で目元を拭うと、いつものように顔をひきしめました。
「お嬢様、くれぐれもお身体には気をつけてくださいね!」
「はいっ」
「いってらっしゃいませ!」
「いってきますっ」
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