暗闇の中の約束事

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 誓いの儀式って、知ってる?  ベッドの上で二人が白いシーツを被り「ある事」をお互いに約束する。  何を約束してもいい。  別にその時に手を繋がなくてもいいし、キスもしなくていい。  ただ、約束した事を何があっても守り切ると、強く思うだけでいい――。    (童話『神様とボク』           より参照)  ――でも、それだけじゃ雰囲気出ないでしょ。  君はそう言って、ボクの頭から純白の布を被せてくれた。  そして手を繋ぎ、おでこを付き合わせてボク達は誓い合った。  まっくらやみの部屋の中、懐中電灯だけを唯一の明かりにして、絨毯の敷いてある床の上で目をつむりながら、ボク達は約束した。  君が遠くに引っ越しちゃっても、ボクと離れ離れになっても、決してお互いを忘れない。  いつかまた会えると信じて、その時までぜったいに、ぜったいに忘れない。  そう強く思いながら、ボクと君は口づけをした。  約束の証。二人だけの印。  数秒足らずの、それでも永遠に時が止まったように思われた初めてのキス。  ぎこちなく顔を離した後、君は涙を浮かべながら、ボクにこう提案した。  交換しよ。心の鍵。  うん。と、ボクも泣きそうになりながら頷いた。  そして繋いでいた手を離して、ボクは君の、君はボクの胸に両手を重ねた。  ――君の鼓動を感じる。  君の温もりを、感じる――  そしていつしかボクは、君の心の鍵を手にしていた。  金色で、銀色で、虹色で。  不思議な輝きを見せるその鍵はとても頑丈そうで、でもすぐに壊れてしまいそうで。  見れば、君の手にもちゃんとボクの鍵が乗っかっていた。  顔を見合わせて、何故だか急に恥ずかしくなって、お互いに笑い合う。  ずっと大切にするから。  涼太、いつか迎えに来てね。  それまで待ってるから……  君がボクに優しく囁く。  迎えに行くよ。  ぜったい、迎えに行く。  その事を伝えて、ボク達は再び触れるだけのキスをした――。
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