6人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
誓いの儀式って、知ってる?
ベッドの上で二人が白いシーツを被り「ある事」をお互いに約束する。
何を約束してもいい。
別にその時に手を繋がなくてもいいし、キスもしなくていい。
ただ、約束した事を何があっても守り切ると、強く思うだけでいい――。
(童話『神様とボク』
より参照)
――でも、それだけじゃ雰囲気出ないでしょ。
君はそう言って、ボクの頭から純白の布を被せてくれた。
そして手を繋ぎ、おでこを付き合わせてボク達は誓い合った。
まっくらやみの部屋の中、懐中電灯だけを唯一の明かりにして、絨毯の敷いてある床の上で目をつむりながら、ボク達は約束した。
君が遠くに引っ越しちゃっても、ボクと離れ離れになっても、決してお互いを忘れない。
いつかまた会えると信じて、その時までぜったいに、ぜったいに忘れない。
そう強く思いながら、ボクと君は口づけをした。
約束の証。二人だけの印。
数秒足らずの、それでも永遠に時が止まったように思われた初めてのキス。
ぎこちなく顔を離した後、君は涙を浮かべながら、ボクにこう提案した。
交換しよ。心の鍵。
うん。と、ボクも泣きそうになりながら頷いた。
そして繋いでいた手を離して、ボクは君の、君はボクの胸に両手を重ねた。
――君の鼓動を感じる。
君の温もりを、感じる――
そしていつしかボクは、君の心の鍵を手にしていた。
金色で、銀色で、虹色で。
不思議な輝きを見せるその鍵はとても頑丈そうで、でもすぐに壊れてしまいそうで。
見れば、君の手にもちゃんとボクの鍵が乗っかっていた。
顔を見合わせて、何故だか急に恥ずかしくなって、お互いに笑い合う。
ずっと大切にするから。
涼太、いつか迎えに来てね。
それまで待ってるから……
君がボクに優しく囁く。
迎えに行くよ。
ぜったい、迎えに行く。
その事を伝えて、ボク達は再び触れるだけのキスをした――。
最初のコメントを投稿しよう!