NO.1

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
  彼女は頼んだ。   とてもスマートとは言い難い 年配のバーテンに。   BGMは古いポップス(洋楽・消費的曲)。   そう、彼女はバーで一人呑んで居た。 本当なら今日は 親友のバースディパーティーに出席するはずだったのだ。   でも行かない事を 選んだ彼女は一人 GINTONICのグラスを弄んでいた。  そしてグラスに付いた真っ赤な口紅の跡を バッグから出したティッシュで拭き取りながら ゆっくりと話しかける。    「ねぇ、選ばれなかった役者よりも 選べなかった役者の方がずっと惨めだと思わない?」   「お客様失礼ですが、何を言っているのか良くお察しかねます‥大変申し訳ございません。」     少し諦めを含んだ微笑みを浮かべながら彼女は言う。  「いいのよ。GINTONICをもう一杯頼むわ」   END//
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!