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彼女は頼んだ。
とてもスマートとは言い難い 年配のバーテンに。
BGMは古いポップス(洋楽・消費的曲)。
そう、彼女はバーで一人呑んで居た。
本当なら今日は 親友のバースディパーティーに出席するはずだったのだ。
でも行かない事を
選んだ彼女は一人 GINTONICのグラスを弄んでいた。
そしてグラスに付いた真っ赤な口紅の跡を バッグから出したティッシュで拭き取りながら ゆっくりと話しかける。
「ねぇ、選ばれなかった役者よりも 選べなかった役者の方がずっと惨めだと思わない?」
「お客様失礼ですが、何を言っているのか良くお察しかねます‥大変申し訳ございません。」
少し諦めを含んだ微笑みを浮かべながら彼女は言う。
「いいのよ。GINTONICをもう一杯頼むわ」
END//
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