風の道 蒼海の森

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「…はっ…!」 莉禾は目を覚ました。 視界には、さっきまでとはまるで違う、白い世界が広がっている。 莉禾の部屋の天井や壁だ。 莉禾は左腕を支えに起き上がった。 「あ"あ"ぁぁ~~…。気分わりー…」 いやな夢を見た。 そう思った。 全身汗だくで、パジャマの下のTシャツが冷たく感じた。 莉禾は額の汗を拭いながら、さっき見た夢を思い出す。 訳の分からない夢だ。 夢は基本的に訳が分からないが、心底そう思った。 どこにも存在するはずのない場所で、存在するはずのない不思議な水面を見る。 中には鬼のミイラが沈んでて、それが姿を変えれば自分となる。 何だか意味があるようにも思えるが、どんな意味であるかは全くわからない。 ただ、莉禾の胸にはムカムカする感覚ばかりがした。  
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