風の道 蒼海の森

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「莉禾!!」 階段の下には莉禾が仰向けに倒れていた。 「うっそ……!莉禾…!!」 「何?……あらっ!」 階段のすぐ近くにある保健室から、先生が出て来た。 大きな音がしたから、何の騒ぎかと顔を出したのだろう。 倒れた莉禾を見て驚いていた。 「大変!中に運ぶから、あなたちょっと手伝って」 「……あの…血が…!!」 先生は念入りに莉禾を観察する。 「大丈夫。おでこが切れただけよ。……よかった…救急車はいらなそうよ」 「本当に!?」 「骨折も無いようだし、気を失ってるだけだから。早く手当てしましょう」 「はい」 2人は協力して莉禾を運んだ。 先生は莉禾をベッドに寝かせると、小さく切れた莉禾のおでこを消毒し、ガーゼで塞いだ。 その後、ミヨに授業に出るよう言い、莉禾の両手首に湿布を貼って、包帯をした。 「よくこんなに軽傷ですんだわねぇ…」 先生はそう呟くと、職員室に行くために保健室を出て行った。  
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