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静かだ。
そして暗い。
今朝も見た、この世界。
あたし、また夢見てる…?
莉禾は心の中でそう呟いた。
あの水面は……
この世界での唯一の光だった。
あの水面はないのだろうか。
莉禾は思わず周りを見渡した。
………ない……
暗くて四方など認識出来ないが、きっともうこの場で何周も回っている。
だが、水面なんてどこにも見えなかった。
何でないの…?
莉禾はそう思う。
少し変だと思った。
あの水面からは、姿を変える鬼のミイラが出てきたのだ。
恐ろしくなかったはずがない。
気持ち悪い水面だと、本気で思っている。
なのに、探さずにはいられない。
どこかにあってほしいと願ってしまう。
……何で…?
自分が水面の存在を願っていることに嫌気がさす。
でも…
探してしまう。
体が、探すことをやめない。
……どこいった?あれ……何で出てこない…
だんだん体が汗ばんできた。
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