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「……よいか、失敗は許されん」
「……えぇ、解っております」
美しい絹の着物を着た2人の男が薄暗い部屋の中でその声を響かせる。
忍ばせているはずの足音さえも、美しく響き渡った。
神秘的な模様の大理石のような石で造られた部屋には、ほんの小さな物音でも美しく響き渡る。
だが2人の声は、響いたとしても、とても美しくは感じられなかった。
2人は部屋の中央にある、石を円形に積み上げた大きな井戸のようなものに近づく。
しかしこれは井戸ではない。
井戸がつながっている部屋などどこにもない。
1人の男がこの得体の知れない物の、とても大きな蓋を開け、それを縁に立てかけた。
2人は、その不思議なものの中を覗いた。
中には液体が大量に入っており、光ながら奇妙な色をゆらつかせていた。
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