風の道 蒼海の森

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変化は、歩いてすぐに起きた。 「!」 何だ……? 何か変だ。 さっきまでとはなんだか違う。 莉禾は体でそう感じた。 さっきまで気持ちよかった世界の空気が一気にひきつったのだ。 凛と張り詰めた空気を感じる。 獣の縄張りに入ってしまったような、入ってはならない領域に足を踏み入れてしまったような、そんな感じがした。 「何なんだ…?」 そのとき、強い向かい風が吹いた。 「…うっ!!………あ……」 何これ!!すごい臭い! さっきまで甘い香りがしていたはずの風が、一変して酷い悪臭を漂わせた。 何かが焼けるような… 何かが腐るような… そして、それらの臭いより激しく、血の臭いがした。 歩いていくうちに、空気が焼けるように熱くなったことに気付いた。 この先に一体何が…… 目の前の草原は崖に達し、莉禾からその先のものがうかがえた。  
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